DATE

メニュー:組織教育のためのラーニング・デザイン
概要:起業希望者に向けてビジネス思考の基礎を学ぶ全5回のセミナーを開催
期間:5ヶ月(全5回)

時代と共に移り変わる起業の価値観。私たちはどう対応すべきか

ーこの連続講座シリーズはどのような経緯で依頼を受けることになったのでしょうか?

ご依頼者様は「新規事業を生み出すためのきっかけの”場”を作る」というコンセプトの元に新たな施策を始められた中小機構様で、私はそのプロジェクトがスタートした当時より、地域支援アドバイザー・経営支援アドバイザーとして、起業家や新規事業担当者の創業支援に関わっておりました。いくつか企画を共同検討し、研修やワークを行っていたご縁でこのシリーズのご依頼をいただくこととなりました。

中小機構様では、長年創業支援を行ってきたものの、近年の起業に対する価値観の時代変化に対して「自分たちには何ができるのか?」ということを模索しておられる状態でした。さらに、多くの組織でも当てはまるのですが、支援するのはほとんど起業の経験をしたことのない方達です。少しずつ変化している相談者の方たちのニーズに対して、何をどうアドバイスをすればいいのか分からないというのが彼らの不安でした。

そこで、中小機構としての役割を加味した上で「この時代の起業において何から始めるべきか」について分かりやすくシンプルに伝えるシリーズをご提案させていただいたんです。

ー今は1円からでも起業できたりと、起業をラフに考えている方も増えてきている時代ですもんね。昔とは考え方が大きく違うかもしれませんね。

そうなんです。昔は起業となれば人生を懸けてするものだというのが当たり前だった。だからこそ確実に安全に推進するために、中小機構の果たす役割もかなり明確だったんです。

しかし、今の時代は「なんとなく」「とりあえず」で起業する方も多くいます。特に50代以降の方にとっては価値観のギャップはかなり大きいですよね。そのギャップを埋めるには近年の世界の動向と起業の価値観について理解する必要があります。そこで、その全体像を掴みながら起業において何から始めるべきかを考えるセミナーを全5回行うことにしたんです。

以前は起業時に「なぜするのか」「何をする」のが明確な経営者がほとんどで、収益力強化や海外展開の支援、専門家やアドバイザーを紹介するなど「どうやれば良いのか」を支援すればよかった。現在では そのような「どうすれば良いのか」の前に「なぜするのか」「何をするのか」があきらかになっていくための 支援が必要となっている

ー参加者はどのような方々でしたか?

様々な年代や背景の方がご参加くださいましたが、一番多かったのは50代以降の起業準備を進めている方、もしくは起業の意向がある方でした。

皆さん、人生100年時代と言われる中で、定年後の人生、または、今の延長にないキャリアに不安を抱えており、何か自分で始めなければいけない、でも何から考えたら良いのか…という焦りを感じていらっしゃるのが大きな共通点でした。

ーセミナーはどのような内容だったのでしょうか?

近年の世界の動向をお伝えした上で、マホラ・クリエイティブ独自のビジネス思考の実践プログラムを元に、ビジネスにおける基本となる5つの要素について学んでいただきました。

マホラ・クリエイティブの実践プログラムでは、参加者の方に合わせてその時に必要な要素を適宜変更しプログラムを組んでいます。今回は起業において必要なビジネス要素の基礎となる「イノベーションとは」「イノベーションを生むジョブ」「ユーザーを観察する」「インサイト」「価値を見つける」のテーマについて扱いました。

「知っている」だけではなく、「分かる」へ。そして「できる」状態へ

ーマホラ・クリエイティブのビジネス思考のセミナーにはどのような特徴がありますか?

「知っている」から「分かる」、そして「できる」まで持っていくアプローチを行うのが特徴と言えます。例えば、ビジネス思考には様々なツールやフレームが存在しますが、その知識をお伝えすればおそらく「知っている」状態にはなりますよね。しかし、そのツールがどのような意味を持っているか、その意義や重要性が分からないと実践では使えません。「学び」と謳われている多くのコンテンツが単なる「知る」の範囲にとどまっていることは、非常に危惧しなければならないことです。

マホラ・クリエイティブでは、そのツールのもつそもそもの考え方、その意味までを「分かる」状態になることを目指します。ビジネス思考の根本から紐解き、皆さんに本当の意味で実践でお役に立つものをお渡ししたいと考えています。

ー「分かる」まで持っていくには具体的にどのような教え方をするのでしょうか?

例えば、足し算や掛け算ができますか?と言われたら、多くの人は、「そりゃあできるでしょ!」となるかと思いますが、数字のゼロ一つ取ってみても、我々はその存在を知っていても、その概念を説明してと言われたら口がモゴモゴしてしまうはずです。その概念を理解している、つまり「分かっている」状態でなければしっかりと数を扱えているとは言えないわけです。

ビジネスとして扱う要素も同様です。イノベーションも、ビジネスモデルも、事業価値も、その言葉は知っていても、「分かっている」そして、それを「自分の事業として出来る」というのは、全然違うことなんです。知識だけ学んでこれをやってみてくださいと言われた時に、「知っている」状態では実践のしようがありませんよね。どのような意味かを理解していることが「分かる」ということですので、皆さんがその意味までを確実にインプットしていただけるようにします。

自分は今、「知っている」という状態なのか「分かる」という状態なのかを意識し始めると、段々、今自分は本当に分かっているのか自問自答するようになります。それによって初めて学習が生まれ、理解がさらに促進されていきます。

そのため、セミナーの参加者には、〇〇の意味について深く考え込んでしまって気づいたら先生の声が聞こえなくなってました、なんて言われることもあります(笑)。でもそれはすごくいいことで、学習が自分の中で行われている証拠なんです。

ー「分かる」まで持っていくことで初めて実践で活用できるのですね。他にマホラ・クリエイティブならではの特徴はありますか?

実は、分かっただけでは活用することは出来ません。しかし、出来るようになるには、分かっていないと始まらない。私はこれまで世界を巡って海外のトップカンパニーを数多く見てきました。10年先を行くような世界の企業が取り入れているビジネス思考を肌で体感し、日本にその学びを取り込む活動をしてきた経験があります。

また、シンガポールの大学院に通った際、長年積み上げてきたビジネス思考の考え方が時代と共に変化していることを知り、学び直しをし続ける重要性を感じました。

そのため、世界の企業がどのような思考で物事を考え、そこから逆算して今後日本ではどのような思考が必要になっていくのか、また、それを実践するにはどのようなアクションをすべきかということをリアルな温度感でお伝えできるのも私のセミナーならではの特徴かなと思います。

ーセミナーの反響はいかがでしたでしょうか?

結果的に全5回全てのセミナーで9割以上の方が「今後の活動に役立つと思う」とご回答くださいました。アンケートというのは気をつけてその反響を理解しなければなりませんが、それでも、この年の全ての施策の中で最も評価の高い施策である旨を担当様よりお伝えいただけたことは、このような内容が多くの方に必要とされているのだという実感に繋がっています。

そもそも、レクチャーというのは、すぐに価値実現、価値創造に結びつくものではありません。しかし、何からはじめたらいいのか?」を理解してくださり、多くの参加者が「次の一歩を踏み出してみようかな」と感じてもらえる成果を得られたのかもしれません。

また、参加者は普段よく相談されたりイベントに参加するような相談者以外の新規の方も多く参加してくださり、中小機構様の認知度向上にもつながる結果となりました。

もちろん、次の行動は参加者の方次第ではあるのですが、多くの方が次の一歩を踏み出そうとする中で、今回「分かる」に至った内容を実践していただけたら嬉しく思っています。

中小機構様からは今年も引き続き、というありがたい継続のお話とともに、今度は地域でお願いしたいという拡大のご依頼を頂いております。もっともっと多くのはじめの一歩をご支援できればと思っています。

今回ご紹介した事例は「Maho-laメニュー構造」の【2】組織変革のためのラーニング・デザインです。